プラモデル「KV‐2」
- 2017.03.26 Sunday
- 02:05
JUGEMテーマ:プラモデル
また傑作キットを凡作に仕上げてしまった。
1/35「Russia KV-2 Tank」(TRUMPETER)
この間まで寒風が吹きすさんでいたかと思えば、いつの間にやら桜が咲く時期となり、当ブログも当初は一月に一回くらい更新出来ればいいや、と思いながらそれが二月になり三月になる中、すでに継続は力なりしてるだけになっているなぁとひとり語ちる春の曙でございます(今、夜中だけど)。
で、今回久々のAFV。前回が半年前のナナニイのオイ。1/35に至っては一昨年の6月(こういう時にすぐに日付が分かるってブログって便利ね奥さま)。もうマジでオイオイって感じですよ(上手くない)。
そんな、夜中にひとりつっこみに興じている場合じゃない今回のプラモはこちら。
ソビエトKV‐2重戦車
三号戦車をぶち抜いて草原を疾走する勇壮な箱絵だけど、こんな運用出来たとは到底思えない当時超ド級の重戦車です。
こいつにはちょっとした思い出があって、それは昭和が終わるなんて到底考えもしなかった中坊の頃。友人が奮い立って「隣町のプラモ屋にギガントがあったって兄ちゃんが言ってた!」その日の放課後ちゃりんこ転がして友人と行ったプラモ屋で見たものが「タミヤのギガント」=KV-2でびっくり。って、オチもなんにも無いんだけど、その頃NHKで「未来少年コナン」ってアニメやってて、それに出てくる巨大重爆撃機みたいなのが「ギガント」っていうんですよ。中坊の我らはそのプラモかと思ったわけ(その後、ギガントはちっこいプラモとして発売され、数十年経った今では大きく成長して一部の人を喜ばしているのだがそれはまた別のお話)。その時はコレじゃない感に(まさしくコレじゃないんだが)がっかりもしたけれど当時タイガーや四号D型位しか目に入って無かった自分には「タミヤのギガント」=KV-2の異形さと隣に所在なく立つおっさんが脳裏に焼き付いてしまっていたのであった。その頃の自分に復讐すべく今回立ちあがったわけですよ!(復讐ってなんだ?)要は好きなんだなこの戦車。
さて、ここからいつものパッケージ内容なんだけど、これはほとんど自分の記録用なので、気の利いたことは何も書いていません。っていうかそもそもランナー紹介で気の利いたこと書ける?っていうかそもそもこのブログで気の利いたこと書いてる?
設計図はわかりやすいものですが、少なくとも履帯をこうしてつくるのはかなり無理なんじゃないかしらん。
美しい塗装見本図もあってこれはなかなか嬉しい。まぁ塗装指示は、ロシアングリーンとデカールだけの無茶押しでかなり大雑把だけど今回は冬季迷彩にするつもりなので、全然気にならない。
砲塔は一体整形。見た瞬間にKV‐2つくるぜって気にさせてくれる。
彫刻が細かくって、鋳造跡とかベンチレーターとか素晴らしい。
車体はバスタブで一体成型。
Aランナー。正直砲塔パーツに比べるとやや出来が甘いような。
Bランナー。足周り。バスタブの外側に貼るようになってる。
Cランナー。特段書くこともないかな。
Dランナー。工具箱がなにげに地味だけどスライド金型。
Eランナーは2枚組で転輪のみ。細やかなパーツ割で好感持てる。
Hパーツ。KV‐1との差別化とバリエーションパーツになっている。バリが多いランナーでちょっと嬉しい。
Lランナー。KV‐2独特のパーツ構成。
Tパーツは履帯で2枚組。
押し出しピンの自己主張がすごい。
ベルト式も入っているので選択可能。今回はパーツを使う。これ、どっかで使えるかな。
金属製ワイヤーとクリアのSパーツ。
デカールは、「スターリンのために」スローガンとレッドスター。スローガンが「スターリン」と「ために」に分かれているのが、使いやすい。
で、いつものお風呂なんだけど、今回はセスキ炭酸ソーダと台所洗剤の併用。離型剤の残りがあるので、ことさらに良く洗っておく。
まず作る前に、インストの確認。いくつか穿孔の指示があるけど、どのバージョンで造るのか最初に決めておく必要がある。まぁ、そんなに豊かなバージョンがあるわけでもないのだけど。
それでも後から気づくと手遅れということが頻発タイプの人間なので印をつけておく。それでも忘れるからなぁ。これだから重力に縛られるオールドタイプは…
まずは、バスタブのボディに外壁を付けるのだけれど、押しピン跡とパーツの歪みが「当然」あるので粘性と流し込みセメントを駆使してしっかりと接着。このまま一晩放置プレイ
その間に元気なうちに転輪を仕上げとく。嫌いな作業では無いけど後半でやってるとダレる時があるので、出来るだけ作り始めの楽しい気持ちの時にやっちゃうよ。
まずはクレオスのMr.ポリッシャーPROでざっとバリ取り。
その後、シモムラアレックの転輪君。そういえば2も出たらしいけど、いまのところこれで不便ないかな。基本組んでから使う方が効率的にもパーツの一体感としてもいいと思う。
こうやって無心にてを動かして積み上げてくのって心地いいんだよね。
車体を組む時は、接着が終わった後に指で軽く叩いて音を聞いてみる。どっかに接着が不十分なところがあると音がカスカスするのですぐわかる原始的方法。
サスペンションの取り付けは六角孔になっている新設設計。
排気管のプラ充填が上手くいかなかったようで、短くなっていたので、エポキシパテで整形。
砲口が、人生にどんな不満があったのかわからないけれど口が歪んでる。
道具箱は2種類あって、今回造るタイプでは上のふたのタイプなんだけど、このキットだと使えるのは一択だと思われ。
フェンダーのダメージ表現工作。まずは取り付け板のモールドを剥がす。
で、代わりの取り付け板をプラ板とプラ棒、それとパーツを利用して作る。
後は、リューターとか使ってダメージをつけて出来上がり。お手軽に一品の出来上がりでございます。
このキットで最難関だったのが履帯の押しピン消し。これがしつこいのなんの。とにかくしつこい。この作業で優に4時間はかけたね。しかし、後からそこまで神経質にならなくても良かったことが判明。
もうひたすらコリコリ。ここで大活躍だったのが、いつものファンテックの超硬スクレーパーで無くて、クレオスのMr.ラインチゼルのコブラブレード。普段はあまりつかわないのだけれど、ここぞと言う時にこれじゃなくちゃダメっていう時がある坂田三吉みたいなツール。
履帯は、タミヤレモネンセメント流し込みで接着して、やわらかい内に巻きつけて仮組。レモネンは固まるまでは緩やかだけど硬化してからの強さがしっかりあるので連結履帯には便利。
どうしてもところどころ出来てしまう隙間には、高圧ガス工業の瞬間接着剤シアノンDWを充填。基本は効果後に切削するのだけれど、戦車の場合はあえてところどころ残して鋳造痕風にするもの良し。
曵索は輪を鋳造で造っているバリエーションを選択。鋳造のモールドが甘いのでポリパテで作り直し。
些細なことだけど、手すりの基部にシアノンを盛り付け。実際もこんな感じで溶接してるように見える。
そんなこんなで工作は終了。
先ほどからバリエーションは一択と言ってるけど、今回の工作にあたって参考にしたのがグランドパワー2016年4月号のKV‐2特集。これによるとこのキットがそもそも1941年5月以降の生産車両をモデルにしていて、先ほどの道具箱も曵索の選択も他に無いみたい。その他の注意点もいくつかあるけれど、KV‐2の書籍が少ない中でこの資料があればまず大丈夫と素人的に思われ。読んでも面白いのでバックナンバーがあるうちに買っとくといいかもよ(関係者ではありません)。
塗装については今回は冬季迷彩にするつもりなので、まずは下地のロシアングリーンの彩度を上げておく。でないと、迷彩の白に負けて見た目に黒っぽく見えちゃうので。
あえてロシアングリーンではなく、チャコールリザード迷彩用の緑を色のもとで彩度を上げて鮮やかに。どのくらいかというと。
この下半分がミスターカラー302番の色。彩度を上げたのが上半分。
ロシア車両好きな方から見れば怒られそうな色合いだけど、まぁそこは感性?(感性があることが前提の発言)
さらにその上からヘアスプレーを吹き付け。言わば言うヘアスプレー剥がし。後で白塗料を剥がすことをイメージしながらところどころ濃淡をつけておく。
で、タミヤアクリルの白を吹き付けて乾燥後、濡れた筆で落としていく。
その上から、さらにタミヤエナメルのグレーのちょっと汚い色を作って吹き付け。その上からエナメルシンナーで剥がす。
実際とは違うとは思うのだけれど、冬季塗装が数層で剥がれてる感じを出したくてあえて2段階の塗装落としをやってみた。
衝撃で落ちたのとか、こすれて落ちたのとか、こすり落とされたのとか、落ち方にも色々な事情があろうかと。
で、こんな感じ。ただ、これだと全体の統一感が感じ無いので
クレオスから発売されたビビッドなフィルタリング用のMr.ウェザリングカラーフェイスグリーンでフィルタリング。これをすると、白と緑のまだら戦車から、下に緑の塗装があるんだなぁっていう一体感が出る。
このビビッドなフィルタリングは応用が色々ありそうなので、今後使って行きたい。
今回汚し塗装は、ファレホ中心。…なんか疲れてるのかなぁ文章が説明分だけを機械的に書いている気がするんだけど。えっとですね。ファレホ中心にやってみた!(気分変えてみた…)
これはなかなか良いかも。まずは汚したい場所を水で濡らして、その上から薄めたファレホの汚し色を塗装。そしてスポンジで調整を繰り返す。ファレホは硬化すると溶けにくいので色んな色を上から重ねられて、表現の幅がグッと広がる感じ。ただ、難点は時間がかかる。良くやるエナメルだと全体にバーっと塗ってから落としてけばいいんだけど、ファレホのこの方法はいろんな場所ごとに仕上げていく感じ。それでもコントロールと偶発性の面白さのバランスが良いので、今後はこの方法メインでやろうかな。
興味ある方は、ファレホのフェイスブックで映像で説明されてるよ。オススメ。
錆表現もファレホを使用。スポンジを利用してランダムにポンポンと。
下回りは、ファレホのウェザリングエフェクトよりロシアスプラッシュマッドとロシアマッド。東部戦線の滋養豊かな黒泥を見事に再現(ファレホさんが)。このマテリアルは木工用ボンドみたいな感じで乾燥すると皮膜になる面白い性質がある。ピグメントを水溶き木工用ボンドで固めてた時のような使い勝手だけど、さすが専用なので色味がいいのよ。今回はスプラッシュは薄めてエアブラシで吹き飛ばし。
そんなんで完成でございます。今回は塗装に重点を置きたくて時間が思ったよりかかってしまった(基本色塗って乾燥させて、クリア塗って乾燥させて、ヘアスプレー塗って、アクリル塗って落として、半ツヤクリア塗って乾燥させて、エナメル塗って落として、フィルタリングして、つや消し塗ってが基本の塗装工程…長いわ!!)
フェンダーのダメージ表現。このキットはワイヤーが付いてきたので思いついたところ。煤と金属面、塗装面、錆、汚れなど塗装が面白かった。
砲身は形の主張が強いので、あえてあっさりとした印象にしておいた。
いつも自分の作品が全体にボワーンとしている印象で、それも全体に同じ調子の塗装をしていたからなんだけど。今回はその反省を踏まえて、形で見せるところと色で見せるところで分けるのをこころがけてみたりしたりしているのね。で、こんな感じの仕上げ。一応言っておくが手抜きじゃないよう。
砲塔はスローガンがあるので、あえて上から薄く白をかぶせながらの外側の汚い白で文字が浮き上がって見えるような感じをイメージ。ストーリーとしては、冬季迷彩しちゃった後で「やべっ塗っちゃったよ」って感じで雑巾で拭い落した新卒兵の仕事ぶり。
道具箱は汚しよりも錆びに重点を置いて素材の違い感を出してみた。あえてフィルタリングもかけずに汚いんだけど全体では白く浮いて見える。錆がいい感じに決まってる(ファレホの仕事)。
全体が白っちゃけるので、車体後部は汚しを強く。
特に排気口はピグメントの錆と煤をそのまま使用。立体感のある汚しがいい感じに決まってる(ピグメントの仕事)。
ファレホのウェザリングエフェクトのロシアンマッド。不溶性の土で出来ていてこういう立体感ある表現に最適。これカチカチに固まってます。ベタベタ感がハンパ無く決まってる(これもファレホさまのお仕事です!)
前方からこんな感じ。砲は振動によって塗装もはがれ緑が強調されてる感じ。
場所ごとに方向性を定めてメリハリをつけてみたがいかがか!いかがだろうか!!いかがなものか!!!いかがなまだ!!!!(いかそうめんたべたい)
砲塔上。車体とは違いあまり汚さずに人の動線を意識してみたりしてみた。
後方は泥だらけ。
左側はダメージを作ったので右側は出来るだけオーソドックスに。そういえば履帯の押し出しピンを一所懸命とったけど、よく考えたら最初から泥だらけにするつもりなんだから大概で良かったと後から気づく。
なんか、今回のブログ書いててやけに真面目なのは、きっと年度末で疲れているからだろうなぁ。来年度もまた忙しいんだろうなぁ…
年度末の重苦しい気持ちを抱えつつ。ことし8つは完成させたいし、ちょっとスケジュール厳しくなつてしまたけど、とにかく今年の一作目ようやく完成でございます。
コレ見たら中坊の頃の自分は満足してくれるだろうか。
次は、一旦戦車から離れて浮気する予定。浮気と言えば、当然……だよね。
面白かった!と思っていただけたらぽちっとお願いします!
ありがとうございます!