プラモデル 「日本陸軍戦車の黄帯塗装」について
- 2015.12.30 Wednesday
- 01:13
今回は、少し趣向を変えて、塗装について考えてみたいと思うです。
日本陸軍戦車を中心に作っていると、毎回悩まされるのが迷彩塗装。難しいポイントを挙げると…って、全部難しいんだけど、ポイントは3つあって
一つ目は、雲型の迷彩。
こんな感じで、3〜4色がお互いを食い合う感じの配色となる迷彩。雰囲気出すのが中々難しい。
二つ目が、特に第二次世界大戦前の迷彩で特徴的な、境目の黒線。
ファインモールドの鈴木社長によるとこの頃は黒線入れて六色迷彩だったらしい。そういうことは早く言ってよ〜。
って、結局リサーチ不足なんだけどさっ!←逆切れ
で、三つ目が、ザ・日本陸軍戦車迷彩の『黄帯』だ!
これに毎回ナーバスになる。だって、雲迷彩の上に書いてんだから失敗出来ないじゃん。
線書き中なんて、もう鼻息荒く筆塗りしているわけじゃん。
で、大体からして黄色って発色が難しいから、下地に白とかパフとかデッキタンとか塗ってくわけじゃん。
その時から鼻息荒く集中して、さらに黄色ではみ出さないように、下地が見えないように、鼻息荒くして塗るわけじゃん。
ここで、やっちまったら長引くぞ〜、なんて脳内脅迫受けながら線塗るわけじゃん。
【じゃん】
神奈川県の方言と思われてきましたが、どうやらそうではないようです。興味ある方は「じゃん 方言」で検索!
前振りが長くなったけど、今回は、この「黄帯」を出来る限り楽して書くために、下地無しで一発でいけちゃう方法を探そうという試みであります。
<お断り>
日本戦車作成の諸先輩方におかれましては、すでに『当然』の内容であろうかと思いますが、日本戦車若葉マークの若輩者ゆえ(年齢はじじいですが)、生温かい目で見守っていただけますよう。
まず、用意したのがこちら。
プラ板に、前期日本戦車の基本と言える塗装をしております。
1〜3は、最も色味が近いと言われる、クレオスMr.カラーの「日本陸軍戦車前期迷彩色」セットから、
1 茶色
2 緑色
3 陸軍カーキ
4〜6は、私が三色迷彩で基本で使用するタミヤアクリルを水で溶いて塗装したもの。ちなみに全部フラットね。
4 レッドブラウン
5 ディープグリーン
6 ダークイエローにカーキを上塗り(白のプラ板だと上手く発色しなかったので、下地を塗った。普段はカーキのみ)
むらむらだけど、実験用だから気にしない(みんなも気にしなくていいよ!)。
黄帯に使う塗料は、水溶性を基本に次の3つを準備。
左から、タミヤアクリルのフラットイエロー、ファレホのフラットイエロー、シタデルのユリエルイエロー。
シタデルのユリエルって意味がわかんなくて調べたら「ユリエルとは、ウォーハンマー40,000銀河で勇名と悪名を等しく誇るエルダー宇宙海賊の頭目。彼の故郷、方舟イアンデンの象徴色でもある。」
…いや、全然わからないんですが…
まぁまぁ、気を取り直して実験実験。
要は、三色迷彩の上に黄帯を書くとしたら、どれが一番効率的でしょうか?ということをやりたいと、そういうことです。
文盛堂のスーパーセーブル5/0に水を含めて、まずは一回塗ってみる。
こんな感じ。遠目にはさほど差は感じないかな。
Mr.カラーの方をアップにすると
シタデルが隠ぺいが高い感じ。一方ファレホは透けが強い。
水溶きタミヤアクリルの方は、
こっちもシタデルが強くって、Mr.カラーの結果とそれほど違いが無い感じかな。
次に、三回重ね塗り(乾燥させて上塗りを三回)した結果。
それぞれの塗料の色味の違いがはっきりしてきた。この時点で自分にとってしっくりくるのはタミヤのフラットイエロー。
大きく寄ってみる。まずは、Mr.カラーの上に塗ったタミヤのフラットイエローから
ほぼ、下地を隠ぺいして発色してる。
次にMr.カラーの上に塗った、ファレホのフラットイエロー
発色はしてるものの、青味のある緑の上では隠ぺいしきれてない。
Mr.カラーの上に塗った、シタデルのユリエル(なかなか覚えられない)イエロー
ほぼ発色しているものの、青味のある緑の上では隠ぺいしきれない。あと、塗り方がまずいのかもしれないけれど、ムラが出てる。
Mr.カラーの上での三回の重ね塗りでは、タミヤアクリルが一歩上回った感じ。
次に水溶きタミヤアクリルの方。同じく三回の重ね塗り。タミヤアクリルを水溶きで塗った場合、艶消しが強くなる。それがどう影響するかってところ。
まずは、水溶きタミヤアクリルの上に塗ったタミヤのフラットイエロー(省略してるけど、タミヤアクリルね)
水溶きタミヤアクリルの上だと、青味のある緑は隠ぺいしきれてない。Mr.カラーに比べて、上に乗ってるというよりなじんでる感がある。
水溶きタミヤアクリルの上に塗った、ファレホのフラットイエロー
Mr.カラーの時よりさらに隠ぺいが落ちた感じ。発色もまだ淡い気がする。
水溶きタミヤアクリルの上に塗った、シタデルのなんちゃらイエロー
少し緑が透けてるけど、悪くは無い。色味がはっきりしているので、このまま使えそう。
最後に、出来る限り発色するまで塗り重ねると共に、薄めずに原液のまま横に塗ってみた。
どの塗料も原液でも発色はしない。
色味としては、ファレホが白身のある黄色で、シタデルがオレンジがかった感じ。中間色がタミヤ。
Mr.カラー上のタミヤ(だんだん、書くのが億劫になったので、以降こんな感じで)
ちょっと塗料が浮いた感じに見える。上からオーバーコートすれば違和感は無いと思われ。
Mr.カラー上のファレホ
やや透け感が残るものの隠ぺいはする。他の塗料に比べるとムラ無く均質で綺麗。色味が淡いがオーバーコート無しでもいけそう。
Mr.カラー上のシタデル
最も色味が濃く、強く主張してる感じ。ややオレンジがかるけれど、下地との色の相性が良く浮いて見えない。ただ、塗り方に問題があるのか厚みが出るので、オーバーコート必須。もしくは手塗り感を出すなら最適かも。
水溶きタミヤ上のタミヤ(なんだか、意味がわかりづらいけど、そういうこと)
ほぼ、完全に隠ぺいするし、違和感も無い。なじんだまま発色した感じで、上に乗ってる感も無く一体感がある。少し明るすぎるきらいがある。
水溶きタミヤ上のファレホ
色味が淡くレモンイエローに近い感じ。塗装面にほとんどムラが出ず上品には見えるが白っぽい。
水溶きタミヤ上のシタデル
Mr.カラーに比べると、少し落ち着いた色味になるが、三色の中では最も主張が強い。ムラが出るので、荒々しい感じに見える。
やってみる前までは、シタデル > ファレホ > タミヤアクリル で隠ぺい率が高いと思ったけれど、やはりイエローは難関らしく、圧倒的な優位に感じるのは無いかな。
バランスがいいのは、なんとタミヤアクリル。塗り重ねればそれなりの結果は得られるし、どちらの下地でもしっくりくる。
ファレホは、意外と隠ぺいしないけど、重ねて行けばムラが出にくい。例えば、光のあたるところはファレホで上塗りするなど、やってみたい。
色味が強い分、ドラマティックなのがシタデル。激戦の表現や少し個性的な塗装をしたい場合に使ってみてもいいかも。
自分としての結論は、
1 どの塗料も、それほど差が大きいわけではないが、基本的にはタミヤアクリルで十分。
2 結局、下塗りした方が絶対発色はいい。
楽は出来んということだな。まぁその分、黄帯の表現の幅が見えた気もするので、良し。
最後に、ちょっと付け加えて、ウェザリングやウォッシングの溶剤との相性を確認。
茶色にタミヤエナメルシンナー、緑にペトロール、カーキにMr.ウェザリングマスター薄め液を塗って、上からティッシュで擦ってみた。
結果、シタデルは、ペトロールに侵されることが判明。他は影響なし。塗装後の一時乾燥なので、数日後も同じ結果かはわからないけれど、とりあえずシタデルと油彩は相性悪し。
また、写真は無いけれど、Mr.カラーシンナーを上塗りしたところ、当然下地から溶けてしまうが、ファレホは影響が少なかった。ファレホの完全乾燥は数日と言われているけど、塗膜の強さは一番かも。
以上、雑駁だけど検証終了。
結局、黄帯は今までと変わらない方法だな。
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